プライベートクラウド、パブリッククラウド、オンプレミスの違いは? それぞれの特徴を徹底比較

今やクラウドを利用していない企業の方が少ないほど、ビジネスにクラウドの存在は浸透してきました。クラウドはITインフラとしてすでに必要不可欠となり、「クラウドファースト」という言葉も生まれています。

現在のクラウドには、プライベートクラウドやパブリッククラウドなどの技術があります。本記事ではこのプライベートクラウドとパブリッククラウドに加え、オンプレミスの特徴などを詳しくご説明しましょう。

プライベートクラウド、パブリッククラウド、オンプレミスの違いは?

まずはプライベートクラウド、パブリッククラウド、オンプレミスについて、それぞれの特徴を整理しましょう。

プライベートクラウドについて

プライベートクラウドとは自社のみで構築、利用するクラウド環境のこと。そのため、クラウド環境や付随するネットワークを自社で占有するのが特徴です。アメリカ国立標準技術研究所は「NISTによるクラウドコンピューティングの定義」にて、プライベートクラウドの定義付けを下記のようにしています。

「クラウドのインフラストラクチャは、複数の利用者(例:事業組織)からなる単一の組織の専用使用のために提供される。その所有、管理、および運用は、その組織、第三者、もしくはそれらの組み合わせにより行われ、存在場所としてはその組織の施設内または外部となる。」

プライベートクラウドを利用するメリットは2つあります。

  • セキュリティが高度である
  • 自社の特徴に合わせた環境構築が可能である

プライベートクラウドは自社占有のため、クローズドな環境です。利用するユーザーが限定でき、社外からのアクセスなどは行えないようになります。また、独自のセキュリティポリシーを適用して高度で柔軟な運用が可能。そのため、機密データや顧客のデータベースなどはプライベートセキュリティへの保存が有効です。

これに加えて環境を占有できるため、自社の特徴に合わせたクラウド環境の構築が可能です。自社独自の環境を構築できるため、業務に最も適したカスタマイズが可能になります。OSからソフトウェア、回線まで自由自在です。また、プライベートクラウド内での環境構築であれば、統一的な運用ができます。これまで部署間や事業所間で独立したシステムを利用していた場合は、統合して部門間連携など効率的な運用も可能になります。

ただし、プライベートクラウドにも以下のようなデメリットはあります。

  • コストがかかる
  • 拡張への柔軟性が少ない
  • 運用・保守の負担がかかる

プライベートクラウドの最大のデメリットは、「コストがかかる」点です。なぜならプライベートクラウドは占有のため、パブリッククラウドのようにすでに環境が構築されている中に当てはめるのではなく、すべてをイチから構築するから。イメージ的には、自社に新しい設備を導入するのと同じになります。自由に構築ができるのでカスタマイズ性は増しますが、初期費用から運用コストまでパブリッククラウドを利用するよりも多くのコストがかかります。

また、拡張への柔軟性が少ないこともデメリットです。プライベートクラウドは初めにリソースや容量を決定して進めていくので、途中でリソースの追加や縮退などには向いていません。そのため構築前に、どれくらいのリソースや容量がいるのかをきちんと計算する必要があります。

これに加えて、導入後は新しい設備投資をしたのと同じため、担当者には運用・保守の負担がかかります。プライベートクラウドは自社ですべての責任を負う運用です。そのため、担当者にはより専門的なクラウド環境の知識が求められるでしょう。安定的に運用していくためには、より高いスキルを持った担当者が必要不可欠になります。

▼参考:NISTによるクラウドコンピューティングの定義

ホスティング型とオンプレミス型の違い

プライベートクラウドの構築には2種類の方法があります。それぞれ、「ホスティング型」と「オンプレミス型」と呼ばれるものです。

ホスティング型とはクラウド事業者が提供しているクラウド環境の一部に自社占有の環境を作成して提供してもらう形態です。

なお、ホスティング型を利用するメリットは下記の通りです。

  • 導入期間の短縮
  • 導入コストの削減

先述した通り、ホスティング型はクラウド事業者から提供されるクラウド環境に自社の環境を構築します。そのため、自社でイチからクラウド環境を用意する必要がありません。環境を構築する際に必要なサーバーやネットワークはクラウド事業者から提供されるものを利用するため、導入コストの削減と導入期間の短縮ができます。

一方で、ホスティング型には以下のようなデメリットもあります。

  • 事業者のサービスに依存するので自由度は下がる
  • 障害発生時に独自対応が難しい

ホスティング型はクラウド事業者から提供される環境を利用しますが、利用する契約期間は長期間になるのが一般的です。そのため新たなリソースを追加しようとする、使用していないリソースを縮退するなどは、契約によって行えない可能性もあります。柔軟性が低いことはデメリットと言えるでしょう。

また、クラウド環境そのものに障害が起こった際は独自に対応が難しい点も挙げられます。障害が復旧するまで、自社の業務が止まってしまうなどの恐れもあるでしょう。そのためホスティング型は、クラウド事業者への依存度が高いとも言えます。

一方でオンプレミス型とは、自社内部のサーバールームやデータセンターなどを活用してサーバーや回線を用意し、インフラの構築と運用を行うもの。データセンターとはインターネット用のサーバーやネットワーク機器などを設置し、運用することに特化した施設です。設置場所や電源の提供、空調管理から災害対策まで行ってくれるため、自社内での運用を行うよりも負担軽減ができます。オンプレミス型のメリットは下記の通りです。

  • 自由度の高いカスタマイズが可能
  • 独自のセキュリティポリシーが設定できる

オンプレミス型の最大のメリットは「自由度の高いカスタマイズが可能である」という点。ホスティング型と異なり、サーバーからネットワーク、システム構築まですべてを自社でまかないます。そのため、自社の特徴にあったカスタマイズが可能です。また、イチからの設計するため、独自のセキュリティポリシーも設定ができます。オンプレミス型であれば、より強固で独自性を持った運用が可能です。

一方で、オンプレミス型には以下のようなデメリットもあります。

  • 環境構築に時間がかかる
  • 高いコストがかかる

オンプレミス型は自由度の高い環境構築が可能な反面、サーバーやネットワークなどをすべて自社でまかなうため、機器の用意から設置、実際の構築まで多くの時間を必要とします。機器の調達にどれくらいの時間が必要なのか、設置場所は社内かデータセンターか、リソースはどれくらいを必要とするのか、運用面のポリシー策定など運用開始までに決めることも多いでしょう。そのため、長い期間を見積もってスケジュールを組む必要があります。

また、高いコストがかかる点も忘れてはなりません。機器の用意などの導入費用はもちろんのこと、環境構築には人的コストなどもかかってきます。加えて、運用開始後も自社で機器の管理から運用を行うため、専門性の高い人員を配置することが必要です。自由度は高いですが、コストもその分かかってくるため、自社内でバランスを取ることが求められます。

ホスティング型とオンプレミス型は、どちらもメリットとデメリットがあります。そのため、自社の業務や今後の方針に合わせて検討するようにしてください。

パブリッククラウドについて

クラウドの利用を考えるにあたって、パブリッククラウドという言葉もよく聞くでしょう。本項では、パブリッククラウドの特徴についてご説明します。

パブリッククラウドとは、事業者やITベンダーなどのプロバイダがインターネットを介して、サーバーやソフトウェアなどを提供するサービスのこと。 代表的なものとして「Amazon Web Services(AWS)」「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform」「IBM Cloud」などが挙げられます。 プライベートクラウドの占有とは異なり、プロバイダが提供する環境を複数のユーザーで共有して利用するのが特徴です。なお、パブリッククラウドには以下のようなメリットが挙げられます。

  • コストの抑制
  • システム管理者の負担軽減
  • 優れた拡張性

パブリッククラウドは複数のユーザーで環境を利用するため、自社で占有するプライベートクラウドよりもコストの抑制につながります。また、クラウド基盤の保守を行うのはプロバイダ側のため、自社のシステム管理者の負担軽減にもなるでしょう。これに加えて、優れた拡張性もメリットです。業務上リソースの追加などが必要になった場合は、すぐに追加ができるので業務に柔軟性を出せます。

一方、以下のようなデメリットもある点に注意してください。

  • クラウド基盤が止まってしまうと業務が止まってしまう恐れ
  • セキュリティ面での不安

パブリッククラウドはプロバイダのクラウド環境を借りています。そのため、クラウド基盤が止まってしまうと、自社の業務そのものも止まってしまう恐れがあるでしょう。また、パブリックとは「公共の」「公開された」という意味のため、契約した不特定多数の人が利用できます。そのためセキュリティ面での不安は、プライベートクラウドよりも大きいと言えるでしょう。

オンプレミスについて

オンプレミスとは「自社運用」という意味。サーバーやネットワーク回線、利用するソフトウェアなどを自社内もしくはデータセンターで管理・運用する方法です。クラウドとは違ってインターネットなどのネットワークを使用せず、自社内のみ回線を利用して運用します。自社の基幹システムや機密情報の取り扱いなど、外部とは接触しないやり取りを行うのに適しています。オンプレミスのメリットは、下記の通りです。

  • システムのカスタマイズが容易
  • セキュリティが強固

オンプレミスは稼働させるサーバーなどの機器からソフトウェアまで、すべて自社内でまかないます。そのため、自社占有のオリジナル環境ができるため、容易にシステムのカスタマイズが可能です。自社の特性に合わせて部門間連携を行うなど、柔軟性があるのは大きな強みでしょう。

また、オンプレミスは自社内ネットワークですべて完結するため、外部からのアクセスは基本的には行えません。そのため強固なセキュリティ環境となり、個人情報の保護などに活用ができます。

一方で、オンプレミスのデメリットは下記の通りです。

  • 初期費用が高い
  • 構築から運用、保守まですべて自前で賄う必要がある

繰り返しになりますが、オンプレミスはサーバーから業務に必要なシステムやアプリケーションまで、すべて自前で用意します。そのため、初期コストはクラウドを利用する場合よりも高くなる場合がある点には注意が必要です。

また、構築から稼働後の運用、保守まですべて自社で体制を整える必要があります。そのため、社内に専門知識が高い人材やグループが必要です。オンプレミスでは障害時も基本的には自社で対処する必要があるため、自由度が高い反面、より安定した稼働が求められます。

プライベートクラウド、パブリッククラウド、オンプレミスの特長から考えた比較

先にご紹介した特徴をもとに、それぞれの比較をしてみましょう。

<プライベートクラウドとパブリッククラウドの比較>

プライベートクラウド パブリッククラウド
オンプレミス ホスティング
導入までの期間 長期 短期 短期
コスト 高額 パブリッククラウドに比べ高額 最も安価
運用管理 すべて自社 使用管理:自社
インフラ管理:プロバイダ
使用管理:自社
インフラ管理:プロバイダ
拡張性 低い 高い 高い
セキュリティ 強固 強固 クラウド事業者による

プライベートクラウドにはオンプレミス型とホスティング型があるので、それぞれの優れている点を確認するのがいいでしょう。また今後、自社の業務規模が変化するなどの可能性がある場合は、拡張性が高いパブリッククラウドを利用するなどでもよいかもしれません。

いずれにしろ、自社の目的に合わせて選択するようにしてください。

<オンプレミスという選択肢>

業務規模や内容によってはクラウドにこだわらず、オンプレミスという選択肢も有効です。なぜなら自社運用で完結ができ、セキュリティもクラウドと比較すると強固だから。また、カスタマイズが容易なのも魅力な点のため、業務の一部分をオンプレミスで残すなどもよいかもしれません。

▼比較表

プライベートクラウド パブリッククラウド オンプレミス
オンプレミス ホスティング
導入までの期間 長期 短期 短期 長期
コスト 高額 パブリッククラウドに比べ高額 最も安価 高額
運用管理 すべて自社 使用管理:自社
インフラ管理:プロバイダ
使用管理:自社
インフラ管理:プロバイダ
すべて自社
拡張性 低い 高い 高い 低い
セキュリティ 強固 強固 クラウド事業者による 強固

まとめ

プライベートクラウド、パブリッククラウド、オンプレミスにはそれぞれの特徴とメリット、デメリットがあります。大事なのは自社の目的に合わせて、適切にどの環境を選び運用していくかです。必ずしもクラウドである必要はありません。自社にとって、最も有益なものは何かを考えてください。

[著者プロフィール]

長野俊和
フリーランスシステムエンジニア。都内ソフトウェアハウスにてバックエンドエンジニアを9年経験後、独立。フリーランス同士でチームを組み、システム開発やディレクションを主軸事業として実施。また、IT技術を活用した業務改善、コンサルティング、提案などの活動を行っている。Comfortable Noise(コンフォータブルノイズ)代表。

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